4月23、24日と宮城県石巻市へボランティア活動へ行ってきました。
何をしてきたのか。
何を感じたのか。
それを伝えることがすごく大切だと思っています。
現状を知ること、伝えること。それもボランティア活動だと思っています。
長文になってしまいますが、是非とも読んで下さい。
<ボランティア団体と参加者>
ap bankとpeaceboatが協力し、災害復興支援を石巻にて行っているとの
情報を会社の同期からもらって、参加しました。
金曜日の夜、夜行バスで石巻に向かい、
土曜日・日曜日と活動をして、
日曜日の夜行バスで東京に帰ってくるというサラリーマンでも参加できる日程でした。
同じ日程での参加者は104名。(たぶん)
男性・女性、学生・社会人、年齢も幅広く、シンガポール人の方も参加していました。
1週間滞在のボランティアには外国人もたくさんいました。
石巻専修大学がボランティアへグラウンドを開放しているので、
ボランティアの多くはそこへテントを張って寝泊りしています。
石巻へ集まったボランティア団体は大小含め164(たぶん)あると聞きました。
それぞれ、自分の食事・水を持参し、もちろんゴミは全て持ち帰ります。
<活動内容>
僕自身が行った活動内容を記します。
活動範囲としては、半壊地区。
23日
石巻駅の近くにある写真屋さんの片付け。
店主がいるもの・いらないものと仕分けをしていくので、
それをまとめたり、店外に出したりする作業をしました。
電気が通っていないので店内で暗い所もあるので、
ヘッドライトをつけて作業。
24日
石巻駅の近くにある呉服屋さんのヘドロ除去作業。
地下室に溜まったヘドロをスコップですくってバケツへ入れて、
それを地上までバケツリレーして土嚢袋へ入れていく。
ガソリンで電気おこす機械があったので、それで地下室に光はあったが、
依然として真っ暗でヘッドライトをつけて作業。
ヘドロを除去作業をする場合は、
必ず、安全長靴を履いて、完全防水のカッパを着、ゴム手袋・皮手袋を重ねてつけます。
ヘドロにはどのような成分が含まれているかわからないので、
直接肌に触れないようにして、また、真っ黒なヘドロの中に鋭利なものが入っている可能性があるので、安全長靴・皮手袋で守ります。
また粉塵もでますので、ゴーグル・マスクをして作業をします。
もちろんヘルメットもかぶります。
このような完全防備の状態で作業を行いました。
<現地の人との触れ合い>
①写真屋さん
写真屋さん店主は少し寂しそうな雰囲気でした。
単に必要なもの、必要でないものを選んでいるのではなく、
この状況下だからこそ、必要最低限のもの以外は捨てざるを得ないという状況のようでした。
昔に撮った写真のネガも捨てられていました。
写真入りの看板を捨てると言ったときの店主のあの悲しい雰囲気は今でも忘れられません。
現地の被災者の方々に「がんばって下さい」と気軽に声をかけることで、
ボランティアと被災者の方がもめたこともあると聞いていました。
毎日がんばってる被災者に対して都心からひょこっと出てきた人たちにがんばってと言われて、
軽々しいな!っと思うこともあるのでしょうね。
その話を聞いていたので、写真屋さんの店主との別れのとき、
握手を求め、また来ますと言いました。
店主は「あんたぁ!!」と言ってガッチリ握り返してくれて、胸いっぱいになりました。
店主はみんなに向かって、
「今日片付けて頂いて、気持ちがスッとしました。」と言っていました。
そのとき、あぁ、来て良かった。と心から思いました。
②呉服屋さん
呉服屋さんの店主は前向きで、明るいイメージでした。
僕が中学2年生まで住んでいた大阪の町に2年間ぐらいいたらしく、
その話で盛り上がりました。
店内の壁に、3本の線が入っているのがわかります。
1本目はひざ下。
2本目は胸元。
3本目は2mぐらい。
それぞれ津波の第1波、2波、3波の高さです。
第1波が来たときは津波が来たということで、商品を2階へ移動させていたようです。
それで第2波が来たと思ったら間髪入れず、第3波と。。。
1階部分は完全に浸水したので、店主とその両親(7,80歳)は泳いで階段のところまで行って助かったようです。
半壊地区でもそういう状況だから、海岸沿いの前回地区はものすごかったのでしょう。。。
店主と色々話ができたので、ついつい聞きたくなりました。
今後どうするのか。
お店を片付けているけれども、また同じところでお店を続けるのか否か。
聞きたかったのですが、聞けませんでした。
何にも決まっていなかったらどうするのか。
とりあえず今一生懸命片付けて、それから考えるのかも知れない。
どんな反応・どんな回答が返ってくるのかわからなかったし、
場合によっては気分を害してしまうかもしれない。
そう思って聞けませんでした。
③通りすがりの人々
ボランティアのルールとして、
現地の被災者とすれ違った場合は必ず挨拶するというルールがありました。
被災地には、多くの人が出入りしています。
ルールになっている理由は、自分たちは怪しいものではなく、
ボランティア活動しているんだということをアピールするためです。
本人立会いとは言え、他人の敷地内に入って作業をするので、
近所の皆さんも心配することもあるのでしょう。挨拶は大切ということでルールでした。
この挨拶をするということは、自分たちが何者かをアピールするだけでなく、
被災地の皆さんを少しは元気付けているのでないかと思っています。
元気な人が元気良く挨拶をして、回りに元気を分け与えているイメージですかね。
挨拶すると、通りすがりの皆さんの中には、
いつもありがとうございます。と言ってくれる方もいました。
何か心が温まりましたね。
<現地で得た情報・感じたこと>
現地でボランティアをしている人から聞いた話や感じたことを記します。
①ボランティア活動について
被災地に来て、力仕事や、炊き出しを行うことだけがボランティアじゃない。
現地を見ることも、その状況を伝えることもボランティア活動だと。
自分が被災地のことを思って、自分ができることをすればそれがボランティア活動なんだ。
そのようなことを被災者の方も言っていたようです。
②被災地観光
例えば東京で、今週日曜日は日帰りで石巻へ被災地がどんなんなのかを見てこようと思うって
言ってる人がいたとします。
その人って東京だったら、「やめときなよ」だったり、「不謹慎だ」だったり、何らかの形でバッシングを受ける可能性が高いと思います。
でも実際、被災地に行ってみたら、もっともっと多くの人にこの状況を見て欲しい、知って欲しいって思うようになりました。
本当に日帰りでも良いんです。とりあえず被災地がどのような状況なのかを実際の目で見て確かめることができれば。それで初めて、リアリティが沸いてくるのだと思います。
少しでも時間があって行けるチャンスがある人は行った方が良いと思います。
※言うまでもなく、被災地でははしゃいだり、失礼なほどに写真をパシャパシャ撮るのは良くないです。
③お花見の自粛
石巻のある大きな家に、キレイな1本の桜があって、
毎年、満開の時期になるとご近所さんを誘って、お花見をしていたそうです。
その家も半壊地区にあり、被災してしまいました。
家主の方は、「この桜も今年で最後かぁ」と仰ったようです。
塩害で来年は咲くかどうかわからないとのこと。
その家へもボランティアが入って片づけをしました。
そこで家主は今年が最後かもしれないということで、
ご近所さんやボランティアの人も誘ってお花見をしたそうです。
僕らが石巻に行く1週間前の話です。
東京ではお花見を自粛する声があがっていて、
石巻ではお花見を行っている。
これを見ても東京でも現地の雰囲気を感じ取れていないのは明らかですね。
④中華料理屋さん
自分の家がいきなり、地震と津波でぐちゃぐちゃになってしまったことを想像してみてください。
片付けるにもどこから片付けていいかわからない。。。
途方にくれてしまうかもしれません。
石巻にある中華料理屋さんもそのような状態で、
ぐちゃぐちゃになった店内をみて、もう中華料理屋はやらない。
だからボランティアにキレイにしてもらう必要はないと言ってボランティアが入るのを断っていたようです。
しかし、実際ボランティアが入って、キレイになっていくにつれて、
店主は「今度はこれをここに配置しよう」など、次中華料理屋をやるときのことを考え出したそうです。
次何をしたら良いかわからないほど、ぐちゃぐちゃになった状態で将来のことを考えるのは難しいのでしょうね。ボランティアの力で、少しでも整理・整頓することができたのであればうれしいですね。
⑤外部の人が入ることについて
被災者同士でずっといるより、外部の人がいたほうが雰囲気が良くなるという人もいるらしいです。
上記の写真屋さんも中華料理屋さんも、外の人が片づけをすることにより、
自分では(思い出だったりがいっぱいあるということもあり)時間がかかることを短時間で片付けられる。
それから将来のことを考えられるようになるということが多いでしょうね。
⑥小さなひとかきが大きなひとかきに
石巻から東京へ出発する夜、一人の学生がこんなことを言っていました。
ヘドロをスコップですくう。それは一見小さなひとかきだけれども、
こんだけの人でみんながひとかきすれば、それは大きなひとかきになりますね。
⑦これからすべきこと
東京ではすでに震災は過去のことのようになっているイメージがあります。
でも現地を見ればそんなことはないのは明らかです。
これから復興にどれくらいの時間がかかるかは検討も付きません。
その中で、僕らがすべきことは、続けることだと思います。
節電でも、1円の募金でも、何でも良いと思います。
震災の被害を受けた方々のことを想って、何かをし、
それを続けることがものすごく大切だと思います。
自分ができること、探して、何でも良いので続けましょう!!
以上、むちゃむちゃ長い文章を読んでいただいてありがとうございました。
写真(上から順に:全壊地区・半壊地区・ap bank&peaceboat活動本拠地)